勉強法

科学的に効果的な勉強法 46-50

自分の考えもしたためる

46. 認知バイアスへの対抗策(Countering Cognitive Biases)- 思考の「罠」を知り、客観性を保つ

  • 科学的根拠: 人間は、迅速な意思決定のために、脳に「思考のショートカット(ヒューリスティクス)」を持っていますが、これが時として、非合理的な判断(認知バイアス)を生み出します。自分が陥りやすい思考の癖(例:自分の考えを支持する情報ばかり集めてしまう「確証バイアス」)を知ることで、より客観的で正確な判断が可能になります。
  • やってはいけないこと:
    • 複雑な問題で最初に思いついた解答に固執し、その解答を支持する情報ばかりを探し、反証となる情報を見過ごしてしまう。
  • 公認会計士試験での具体的な実践方法:
    • 意識的な「反証」: 難しい問題で「これが答えだ」と思った時こそ、一度立ち止まり、「もし自分が間違っているとしたら、その根拠は問題文のどこにあるだろうか?」と、意図的に自分の答えを否定する証拠を探す時間を1分間設けます。
    • この訓練は、会計士に必須の資質である「職業的懐疑心」を養う上で、極めて重要です。自分の直感を疑い、常に客観的な証拠に基づいて判断する姿勢が、本番での致命的なミスを防ぎます。
  • 自分の考え
    • 多くの試行ができるように。

47. プラセボ効果の自己応用(Self-Applying the Placebo Effect)- 「信じる力」を意図的にパフォーマンスへ転換する

  • 科学的根拠: 「これは効く」と信じることで、実際には薬理効果のないものでも効果が現れるプラセボ効果は、人間の「信念」や「期待」が、心身に具体的な変化をもたらすことを示しています。この力を、自分の学習習慣やツールに対して意図的に利用します。
  • やってはいけないこと:
    • 新しい勉強法を試す際に、「こんなこと、本当に意味があるのかな」と半信半疑で取り組む。
  • 公認会計士試験での具体的な実践方法:
    • 儀式に意味を与える: 例えば、「この青いペンは、自分の集中力を最大限に引き出してくれる『集中ペン』だ」と本気で信じ、計算問題を解く時は必ずそのペンを使う、というような「自分だけの儀式」を作ります。
    • 「間違いノート」を作る際には、「これは合格者が皆実践してきた、私の弱点を完璧に潰してくれる最強のツールだ」と自己暗示をかけます。行動にポジティブな「意味付け」を行うことで、脳はそれにふさわしい結果を出そうと働き始めます。
  • 自分の考え
    • 思い込みが大事。

48. 「師」を持つことの重要性(The Importance of Finding a Mentor)- 先人の知恵で、時間と努力をショートカットする

  • 科学的根拠: メンター(信頼できる指導者や先輩)は、あなたが進もうとしている道をすでに通り抜けた存在です。彼らの経験に基づく具体的なアドバイスは、独学で試行錯誤する時間を大幅に短縮し、初心者が陥りがちな罠を回避させてくれます。
  • やってはいけないこと:
    • プライドが邪魔をしたり、遠慮したりして、誰にも質問・相談せず、全てを自己流で解決しようとする。
  • 公認会計士試験での具体的な実践方法:
    • 予備校講師を徹底活用する: 相性の良い講師を見つけ、質問教室や個別相談に積極的に通います。単に問題の解き方を聞くだけでなく、「先生が受験生時代にスランプをどう乗り越えたか」「今、この時期に最も重要なことは何か」といった、戦略的な質問をぶつけます。
    • 合格したての先輩に話を聞く: 近年に合格した先輩を探し、話を聞く機会を作ります。彼らの「生々しい成功体験・失敗体験」は、どんなテキストよりも価値のある情報源となり得ます。
  • 自分の考え
    • 合格者の意見を聞こう。

49. リフレーミング(Reframing)- 出来事の「意味の枠組み」を自在に変更する

  • 科学的根拠: ある出来事に対する感情的な反応は、出来事そのものではなく、「その出来事をどう解釈したか」によって決まります。この「解釈の枠組み(フレーム)」を意図的に変更することで、ネガティブな感情をポジティブなものに転換する高等技術です。
  • やってはいけないこと:
    • 答練で悪い結果が出た際に、「自分はもうダメだ、才能がない」という最初の解釈に囚われ、立ち直れなくなる。
  • 公認会計士試験での具体的な実践方法:
    • 失敗を「データ」と捉え直す:
      • 元のフレーム:「答練で失敗した。最悪だ」
      • 新しいフレーム:「素晴らしい。本番前に、自分の弱点を全て洗い出してくれる最高の『健康診断』になった。これは失敗ではなく、合格へのロードマップを手に入れたということだ」
    • 退屈を「試練」と捉え直す:
      • 元のフレーム:「監査論のこの部分は、退屈でつまらない」
      • 新しいフレーム:「この退屈さに耐え、淡々と知識を詰め込める精神力こそが、合格者と不合格者を分ける『ふるい』なのだろう。この退屈さは、自分の精神力を鍛えるための試練だ」
    • 自分の考え
      • 試練に向かうという精神で前向きに考える。

50. 「立つ鳥跡を濁さず」の精神(The "Tatsu Tori Ato o Nigosazu" Spirit)- 最高の形で次の学習へと繋げる「終え方」の技術

  • 科学的根拠: ノーベル賞受賞者ダニエル・カーネマンが提唱した「ピーク・エンドの法則」によれば、人間はある経験の記憶を、そのピーク(最も感情が動いた瞬間)とエンド(終わり方)で判断します。一日の勉強の「終わり方」をデザインすることで、その日一日の学習に対する印象を良くし、翌日の学習への意欲を高めることができます。
  • やってはいけないこと:
    • 難しい問題に悩み、疲れ果てた最悪の気分のまま、その日の勉強を強制終了する。
  • 公認会計士試験での具体的な実践方法:
    • 小さな成功で終える: その日の最後の学習ブロックでは、あえて自分が得意な論点を復習したり、確実に解ける問題を解いたりして、「できた!」というポジティブな感覚で終えることを意識します。
    • 翌日の「最初の1歩」を用意する: 勉強を終える前に、2分だけ使い、翌朝一番に取り組むテキストのページを開いておき、やるべき最初の問題に付箋を貼っておきます。この「準備」が、翌朝の学習開始への心理的ハードルを劇的に下げ、スムーズなスタートを可能にします。
  • 自分の考え
    • 1日の終わりは復習を行い、問題を解けた喜びのうちに眠る。

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