勉強法

科学的に効果的な勉強法 16-20

自分の考えも深めたい。

16. ワーキングメモリの最適化(Optimizing Working Memory)- 思考の「作業台」を常にクリーンに保つ

  • 科学的根拠: ワーキングメモリとは、情報を一時的に保持し、同時に処理するための脳の機能で、「思考の作業台」に例えられます。この作業台の広さには限りがあるため、不要な情報やマルチタスクで溢れさせると、本来処理すべき問題への思考力が著しく低下します(認知負荷理論)。
  • やってはいけない勉強法:
    • スマートフォンの通知をONにしたまま、音楽を聴きながら、複雑な連結会計の問題を解こうとする。
    • 計算過程をメモせず、頭の中だけで処理しようとしてミスをする(暗算の多用)。
  • 公認会計士試験での具体的な実践方法:
    • 徹底したシングルタスク: 勉強中は、スマートフォンを別の部屋に置く、不要なタブを全て閉じるなど、注意を削ぐ要因を物理的に排除します。
    • 思考の外部化: 計算問題では、面倒でも計算過程を計算用紙に丁寧に書き出します。これにより、ワーキングメモリは「数字を覚えておく」という作業から解放され、「どの論点を使うべきか」という本質的な思考に集中できます。
    • 基礎の自動化: 九九のように、基本的な仕訳や計算プロセスは何も考えなくても手が動くレベルまで反復練習します。これにより、応用問題を解く際にワーキングメモリの消費を節約できます。
  • 自分の考え
    • ワーキングメモリをいかにして節約するか。集中すべき箇所にいかにして使うことができるか。問題を見ただけで解けるということはワーキングメモリが節約できていることの証左。また、鉛筆を常に動かす意識も大切。

17. 自己効力感の醸成(Cultivating Self-Efficacy)- 「自分ならできる」という感覚を育てる

  • 科学的根拠: 「自分はこの課題を達成できる」という自己効力感(セルフ・エフィカシー)が高い人ほど、困難な課題にも積極的に挑戦し、粘り強く取り組むことができます。この信念が、モチベーションと学習成果に直結します。
  • やってはいけない勉強法:
    • 答練や模試の結果を見て、常に上位者と自分を比較し、「自分はダメだ」と落ち込む。
    • 出来なかったことばかりに目を向け、自分を責める。
  • 公認会計士試験での具体的な実践方法:
    • 小さな成功体験を積み重ねる: 「今日はこの論点を完璧に理解する」「今日は計算問題を5問、時間を計って解き切る」など、達成可能な小さな目標を設定し、毎日クリアします。この「できた!」という感覚が自己効力感を育てます。
    • 「学びの記録」をつける: 勉強した時間だけでなく、「今日新しく理解できたこと」「解けるようになった問題」を手帳やノートに記録します。自信を失いかけた時に見返すと、「これだけ進んできた」という事実があなたを支えます。
  • 自分の考え
    • 小さな成功体験を毎日簡単な日記で記録しよう。ジャーナリングを通じてマラソンを完走できる。

18. 環境設計(Environmental Design)- 意志力に頼らず、行動をデザインする

  • 科学的根拠: 人間の行動は、意志の力よりも、置かれている環境に大きく左右されます。良い行動をとりやすく、悪い行動をぶりにくいように環境を設計することで、無理なく学習を習慣化できます。
  • やってはいけない勉強法:
    • いつもテレビを見ているリビングのソファや、すぐに寝転がれるベッドの上で勉強しようとする。
    • 勉強机の上に、いつでも手が届く範囲にスマートフォンや漫画を置いている。
  • 公認会計士試験での具体的な実践方法:
    • 「学習聖域」を作る: 特定の机や椅子を「勉強専用」と決め、そこでは勉強以外の活動(食事、スマホ、休憩)を一切しないようにします。脳が「この場所=集中する場所」と認識し、スムーズに勉強モードに入れます。
    • 行動の摩擦を減らす: 夜寝る前に、翌朝勉強するテキストやノートを開いた状態で机に置いておきます。朝起きた時に、すぐに学習を開始できるため、行動へのハードル(摩擦)が格段に下がります。
    • 誘惑の摩擦を増やす: スマートフォンは、勉強中はカバンの中にしまう、電源を切るなど、簡単には触れられない状況を作ります。
  • 自分の考え
    • 勉強する場所としない場所を分ける。勉強する環境だとわかる視覚的なものを勉強中に目に入る場所に配置するのもいいのではないかと思った。スマホは外に。

19. 文脈の多様化(Contextual Variety)- 様々な状況で知識に触れる

  • 科学的根拠: 特定の知識は、学習した際の文脈(場所、時間、気分など)と結びついて記憶されます。様々な文脈で同じ情報に触れることで、記憶を引き出すための「手がかり」が増え、どんな状況でも安定して思い出せる、より強固な記憶になります。
  • やってはいけない勉強法:
    • 常に自分の部屋の同じ席で、同じ順番でしかテキストを復習しない。
  • 公認会計士試験での具体的な実践方法:
    • 場所を変える: 自宅の勉強机だけでなく、時には図書館、静かなカフェ、予備校の自習室など、場所を変えて勉強してみます。
    • 形式を変える: ある論点を、①テキストで学ぶ、②講義で聴く、③問題集で解く、④友人に説明する、⑤単語カードで覚える、など様々な形式でインプット・アウトプットします。
    • 順番を変える: 復習する際に、いつも目次の最初からではなく、ランダムなページから始めたり、過去問を年度別ではなく論点別にシャッフルして解いたりします。
  • 自分の考え
    • 単語カードの作成やランダムに問題を解くという仕組みづくりをAIに任せて、試験勉強が効果的に進められる環境を作れると良い。本質的な試験勉強以外の負担を減らしたい。

20. 感情のラベリング(Affect Labeling)- 不安や焦りを「言語化」して客観視する

  • 科学的根拠: 模試の前や難解な問題に直面した際の不安や焦りといったネガティブな感情を、「自分は今、焦りを感じているな」と心の中や口に出して言語化(ラベリング)するだけで、脳の感情を司る「扁桃体」の活動が鎮まり、理性を司る「前頭前野」が活性化することが分かっています。
  • やってはいけない勉強法:
    • 不安や焦りを感じた際に、その感情を無視したり、無理に抑えつけようとしたりする(かえって感情が増幅することが多い)。
  • 公認会計士試験での具体的な実践方法:
    • 答練の最中にパニックになりかけたら、一度ペンを置き、深呼吸をして「OK、今、自分は焦っている。時間がないと感じてパニックになっているな」と、自分の感情を実況中継します。
    • この単純な行為が、感情の渦に飲み込まれるのを防ぎ、冷静さを取り戻すための「認知的な距離」を生み出します。そして、「じゃあ、まず解ける問題から探そう」と、理性的な次の行動に移ることができます。
  • 自分の考え
    • 俯瞰で自分を見て冷静さを取り戻すことが大切。

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