勉強法

科学的に効果的な勉強法 31-35

自分の考えも書く。

31. 最悪の事態を想定する思考法(Premeditatio Malorum)- 「もしも」に備え、心の免疫を作る

  • 科学的根拠: 古代ストア派の哲学に由来する思考法。事前に起こりうる最悪の事態を具体的に想像し、その対処法まで考えておくことで、漠然とした不安を軽減し、実際にそれが起きた際の精神的ダメージを最小限に抑えることができます。これは、一種の心理的な「予防接種」です。
  • やってはいけないこと:
    • 「きっと大丈夫」という根拠のない楽観主義に終始し、模試でE判定を取るなどの不測の事態が起きた際にパニックになり、学習が完全にストップしてしまう。
  • 公認会計士試験での具体的な実践方法:
    • 「失敗シミュレーション」を行う: 月に一度、15分だけ時間をとり、「もし次の答練で足切りになったら?」「もし本番で得意なはずの簿記が全く解けなかったら?」と具体的に想像します。そして、「その時、自分はどう行動するか」まで考えます。
      • 例:「足切りになったら、まず一日落ち込む。次に、失点の原因を徹底分析し、基礎的な論点の抜け漏れが原因なら、次の1週間はテキストの例題を解き直すことに集中する。そして講師に相談に行く」
    • このように事前に対処法を決めておくことで、未知の恐怖が「対処可能な課題」に変わり、日々の学習に安心して集中できるようになります。
  • 自分の考え
    • 最悪の事態に備えて対策を事前に考える。

32. 学習ポートフォリオ管理(Managing Your Learning Portfolio)- 限りある時間を戦略的に配分する

  • 科学的根拠: 金融のポートフォリオ理論の応用です。有限な資源(時間)を、リターン(配点)とリスク(難易度・不安定さ)を考慮して、各科目(投資先)に戦略的に配分することで、総合得点(トータルリターン)を最大化するという考え方です。
  • やってはいけないこと:
    • 得意で勉強していて楽しい科目(例:企業法)ばかりに時間を使い、配点が大きいにも関わらず苦手な科目(例:財務会計論)の勉強から逃げ続ける。
  • 公認会計士試験での具体的な実践方法:
    • 科目をマッピングする: 定期的に、縦軸に「配点の大きさ」、横軸に「自分の習熟度(低い⇔高い)」をとった2×2のマトリクス図を作成します。
    • 最も優先すべきは、「配点が大きいのに、習熟度が低い」領域にある科目です。逆に、「配点が小さく、習熟度が高い」科目は、知識維持のための最小限の時間配分に留めます。感情ではなく、データに基づいて冷静に時間配分を決定することが、合格への最短ルートです。
  • 自分の考え
    • 配点の都合上、財務会計論が最重要。時間を配点と難易度に配慮して配分。獲得点数の最大化を目指す。わかっていても難しい。C論点も全てマスターすべきという悪魔の囁き。C論点にかけた時間に見合った点数を獲得できるか。

33. 「無知の知」の認識(Embracing Socratic Ignorance)- 「自分はまだ知らない」と知る勇気

  • 科学的根拠: 「ダニング=クルーガー効果」として知られる認知バイアス。能力の低い人ほど、自分の能力を過大評価する傾向があることを示しています。真の専門家への道は、「自分はまだ知らないことが多い」と自覚することから始まります。この自覚が、慢心を防ぎ、謙虚で深い学習へと繋がります。
  • やってはいけないこと:
    • ある論点の問題が数問解けただけで、「この論点はマスターした」と勘違いし、応用問題や発展論点の学習を怠る。
  • 公認会計士試験での具体的な実践方法:
    • 常に自分を疑う: 一つの問題を解き終えたら、「なぜこの解答になるのか、全くの初学者に説明できるか?」「問題の条件が少し変わったら、自分は対応できるか?」と自問します。
    • 「分かったつもり」が最も危険な状態です。「自分はまだ何かを見落としているかもしれない」という健全な懐疑心を持つことで、知識の穴を埋め、より盤石な理解を築くことができます。
  • 自分の考え
    • やっぱり、説明できることが大事。

34. 脳の可塑性を意識する(Consciously Leveraging Neuroplasticity)- 「脳は物理的に変わる」と実感する力

  • 科学的根拠: 脳は、経験や学習によって、その物理的な構造や機能が変化します(神経可塑性)。難しい問題に悩み、そして理解した瞬間、あなたの脳の中では実際に新しい神経回路が生まれ、強化されています。勉強とは、脳という彫刻を自ら刻み上げる作業なのです。
  • やってはいけないこと:
    • 「自分は地頭が悪いから」「記憶力が元々ないから」と、自分の能力が固定的であるかのように考え、学習の限界を自分で設定してしまう。
  • 公認会計士試験での具体的な実践方法:
    • 学習を「脳トレ」として捉える: 非常に難解な論点(例:組織再編税制)に取り組んでいる時、「ああ、今まさに脳の中で新しい道が作られている。この苦しさは、脳が成長している証拠だ」と意識します。
    • このように、学習を抽象的な行為ではなく、「脳を物理的に変化させる」という具体的なプロセスとして捉えることで、困難な学習に対する見方が変わり、前向きなエネルギーが生まれます。
  • 自分の考え
    • 脳負荷の高い問題でも前向きに取り組む。成長につながることだと理解する。

35. 戦略的休息(Strategic Rest & Detachment)- 「何もしない時間」を意図的に計画する

  • 科学的根拠: 脳は、特定の課題に集中していない「デフォルト・モード・ネットワーク」が活発な時に、記憶の整理・統合や、創造的なアイデアの創出を行っています。常に集中し続けることは、この重要な脳の働きを妨げ、長期的なパフォーマンスを低下させます。
  • やってはいけないこと:
    • 勉強していない時間に罪悪感を抱き、常に頭の片隅で勉強のことを考えてしまい、心から休むことができず、慢性的な疲労とストレスを溜め込む。
  • 公認会計士試験での具体的な実践方法:
    • 「完全オフ日」をスケジュールに組み込む: 週に半日、あるいは一日は、「絶対に勉強してはいけない時間」として、あらかじめ計画に組み込みます。
    • その時間は、勉強とは全く関係のない趣味や運動、友人との交流などに没頭します。この意図的な「学習からの分離」が、脳をリフレッシュさせ、膨大な知識を整理・定着させるために不可欠な時間となります。そして、休み明けには、新たなエネルギーを持って学習に臨むことができるのです。
  • 一週間のうち半日はオフの日をつくろうかな。

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