勉強法

科学的に効果的な勉強法 41-45

自分でまとめることが大切

41. 自己決定理論の活用(Leveraging Self-Determination Theory)- 「やらされ感」を「やりたい」に変える心理学

  • 科学的根拠: 心理学者のデシとライアンが提唱した、人間の最も根源的なやる気の源泉に関する理論。人間は、①自律性(Autonomy:自分で決めている感覚)、②有能感(Competence:自分はできるという感覚)、③関係性(Relatedness:他者と繋がっている感覚)の3つが満たされると、内発的なモチベーション(自ら湧き出るやる気)が最大化されるとされています。
  • やってはいけないこと:
    • 予備校のカリキュラムをただこなすだけの「やらされ勉強」に終始する(自律性の欠如)。
    • できない問題ばかりに目を向け、自信を失う(有能感の欠如)。
    • 常に孤独に勉強し、誰とも交流しない(関係性の欠如)。
  • 公認会計士試験での具体的な実践方法:
    • ①自律性を満たす: 予備校の基本計画は守りつつも、「今日の午後は、自分が一番苦手な連結会計の復習に充てよう」など、学習内容や計画に自分の意思を反映させる。学習計画の「主導権」は自分が握っている、という感覚が重要です。
    • ②有能感を満たす: 答練の点数だけでなく、「昨日まで解けなかった問題が、今日は解けるようになった」という小さな成長を自分で認識し、認めてあげる。
    • ③関係性を満たす: 勉強仲間と進捗を報告し合ったり、たまには悩みを打ち明けたりする。同じ目標に向かう仲間との繋がりが、孤独な受験勉強を支える大きな力になります。
  • 自分の考え
    • 能動的に、前向きに、開放的に。

42. 時間的解釈理論の応用(Applying Construal Level Theory)- 「未来の自分」を味方につけ、今の行動を変える

  • 科学的根拠: 人は、時間的・心理的に遠い未来の出来事(来年の試験合格)は「抽象的」に捉え、近い未来の出来事(今日の勉強)は「具体的」に捉える傾向があります。この距離感が、「合格はしたいけど、今日の勉強は面倒」という先延ばしを生む原因です。
  • やってはいけないこと:
    • 「試験はまだ一年先」と考え、今日の学習の重要性を軽視し、先延ばしを繰り返す。
  • 公認会計士試験での具体的な実践方法:
    • 未来を具体的にする: 「合格発表日に自分の受験番号を見つけた時の、全身が震えるような喜び」や「合格後に家族や友人に報告した時の誇らしい気持ち」を、ありありと具体的に想像します。
    • 未来の自分から手紙を書く: 合格した未来の自分が、今の自分に宛てて「あの時、諦めずに頑張ってくれてありがとう」という感謝の手紙を書いてみます。これにより、未来の目標と現在の行動が感情的に結びつき、今日の学習へのモチベーションが高まります。
  • 自分の考え
    • 目標を達成した未来の自分をはっきりとイメージする。

43. クリティカル・シンキングの導入(Incorporating Critical Thinking)- 学んだ知識を「鵜呑み」にせず、本質を問う

  • 科学的根拠: クリティカル・シンキング(批判的思考)とは、情報を無条件に受け入れるのではなく、客観的に分析し、多角的な視点からその妥当性を評価する思考プロセスです。これは、知識をより深く理解し、応用力を高めるための最上位の思考法です。会計士に必須の「職業的懐疑心」の訓練にもなります。
  • やってはいけないこと:
    • テキストに書いてあることや、講師が言ったことを、一切疑わずにそのまま暗記する。
  • 公認会計士試験での具体的な実践方法:
    • 前提を疑う: 「この会計基準は、どのような経済的実態を表現するために作られたのか?」「このルールが適用できない限界的な状況とは、どのようなケースか?」と、常に一歩引いて考えます。
    • 代替案を考える: 「なぜ、この方法が採用されているのか?他の方法ではダメだった理由は何か?」と、背景にあるロジックを探求します。この思考プロセスを通じて、単なる知識が、あなたの「見識」へと昇華します。
  • 自分の考え
    • なぜなぜは大切

44. 学習転移を意識した学習(Learning for Transfer)- 「使える知識」として脳にインストールする

  • 科学的根拠: 学習転移とは、ある文脈で学んだ知識やスキルを、新しい別の文脈で応用する能力のことです。試験勉強の最終目標は、「過去問と全く同じ問題」を解けることではなく、「過去問で学んだ原理原則を、未知の初見問題に応用できる」状態になることです。
  • やってはいけないこと:
    • 個々の問題の「解き方」そのものを暗記し、なぜその解き方で解けるのか、という根本原理を理解しようとしない(解法暗記)。
  • 公認会計士試験での具体的な実践方法:
    • 抽象化・一般化を行う: 一つの問題を解き終えたら、「この問題から得られる、他の問題にも応用可能な『教訓』や『原理原則』は何か?」を抽出する作業を行います。
    • 例えば、「この仕訳は、要するに〇〇という会計原則を具体化したものだ」と、具体的な事象を抽象的な原理に結びつけます。これにより、知識が柔軟になり、未知の問題への対応力が飛躍的に向上します。
  • 自分の考え
    • 具体と抽象を行き来しよう

45. 「感謝」の感情の活用(Leveraging the Emotion of Gratitude)- ポジティブな精神状態を自ら創り出す

  • 科学的根拠: 感謝の感情は、幸福度を高め、ストレスを軽減し、逆境からの回復力(レジリエンス)を高めることが、数多くの心理学研究で示されています。ポジティブな心理状態は、学習効率や認知機能を高める土台となります。
  • やってはいけないこと:
    • 受験勉強の辛さ、犠牲にしていること、自分に足りないものばかりに目を向け、不満や焦燥感を募らせる。
  • 公認会計士試験での具体的な実践方法:
    • 感謝日記をつける: 一日の終わりに、ノートに今日感謝したことを3つ書き出します。どんな些細なことでも構いません。
      • 「勉強を応援してくれる家族がいて、ありがたい」
      • 「今日も健康に一日勉強できて、ありがたい」
      • 「理解できなかった論点が、今日やっと理解できてありがたい」
    • この習慣は、あなたの意識の焦点を「欠けているもの」から「満たされているもの」へとシフトさせます。受験勉強という過酷なプロセスを、単なる苦行ではなく、「成長の機会を与えられた、恵まれた状況」と捉え直すことができれば、あなたの精神状態は驚くほど安定し、強くなるでしょう。
  • 自分の考え
    • 3つの感謝を日記に残す

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